本日は仁義なき戦い（1973）のレビューをしたいと思います。
公開から40年以上たった今でもこの映画を抜くヤクザ映画はない。と言っても過言ではありません。
僕はこの作品が初めてのヤクザであった為、残念ながらこれ以降他のヤクザ映画は見れなくなってしまいました。
深作欣二と言えば仁義なき戦い、仁義なき戦いといえば深作欣二というほどの作品です。
「ヤクザ映画？怖い・・・興味がない・・・。」そんな声も聞こえてくると思います。
しかし、菅原文太、松方弘樹、渡瀬恒彦、田中邦衛、金子信雄、梅宮辰夫、伊吹吾郎。
シリーズ作品では、成田三樹夫、小林旭、千葉真一、北大路欣也など、この顔ぶれが同じ画面に映る、と聞けば「じゃあちょっと見てみたいな」そう意見が変わるのではないでしょうか。
今では太ってしまったこれらの顔ぶれですが、当時はしゅっとしたまさに醤油顔の面々。その体つきとは一変を返すギラギラした目つきで全員スーツをまとえば、もう男性でも惚れてしまうほどです。
あえてここでヤクザ映画というのは理由がります。
仁義なき戦いが登場するまでも、俗にいうヤクザ映画はありました。
しかしそこで描かれる世界はヤクザ社会であっても大衆演劇の延長線という感じの、お涙ちょうだいな作品でありました。それらは仁侠映画というくくりで表現できるのですが、この仁義なき戦いはそうではありません。
実際に広島で起こった暴力団同士の大きな抗争の中心人物であった美能幸三さんの手記を元に描かれたドキュメントで、非常に内容が濃ゆいです。
タイトル通り綺麗ごとではない仁義を無き暴力による取って取られるの世界が繰り広げられます。
壮大なスケールで描かれる作品ですが、組名や氏名などをはじめテロップで表示されることや、細かい説明ナレーションなどヤクザ映画初心者でもすんなり入っていける工夫が施されており、リアルな内容を簡単に把握できます。
打ち合いのシーンなどは荒いフィルムをあえて使ってまるで実写のような表現する、まるでその場に居合わせた一般人のような目線でブレブレのカメラワーク、カメラに血しぶきがかかる、など当時としてはあまりにタブーかつ斬新な表現方法で今なお唯一無二の色あせない画面になっています。
そして上でも触れましたが、あまりに豪華なキャストのそろい踏みでただ話しているだけのシーンでもその画面は豪華絢爛。喉を鳴らすような広島弁で話す姿はアクションシーンでなくても痺れます。
シリーズ全体を通しての覇権争いも見どころですが、シリーズ屈指の名作といわれる広島市死闘編、代理戦争などでは、一人の組員にスポットをあてた作品も見どころです。
大きな渦に巻き込まれ、その中で輝き果てていくその人間描写があまりに凄惨で美しく、映画作品としての評価を更に押し上げる要因としています。
実際、キネマ旬報が実施した「日本映画史上ベストテン オールタイム・ベスト映画遺産200」で歴代第５位という勲章も手にしています。
最近ではアウトレイジがこの流れをくんだ作品として人気を博していますが、もしもアウトレイジが面白いと感じた人は一度仁義なき戦いも見てみてはいかがでしょうか。一気に５作品を見てしまう事間違いなしです。
更に、ヤクザ映画に興味がない女性の方でも、あまりに色気あふれる美男子達のスーツ姿を見るだけでも一見価値ありです。
仁義なき戦いはDVDでもブルーレイでも見れますし、今ではAmazon Primeでも無料視聴動画になっていますので、年会費を支払うだけで全作品が無料でiphoneやipadで気軽に寝ころびながら見れますよ！
またどこかのタイミングで、シリーズごとのレビューもしたいと思います。
仁義なき戦い（1973）
監督：
深作欣二
原作：
飯干晃一
出演者：
菅原文太
松方弘樹
渡瀬恒彦
田中邦衛
金子信雄
梅宮辰夫
伊吹吾郎
成田三樹夫
小林旭
千葉真一
北大路欣也
