蜘蛛巣城の映画の感想レビュー

またまた黒澤監督作品を。

今回は黒澤監督作品の中でも蜘蛛巣城を紹介したいと思います。
モノクロで取られた映像はまるで水墨画の様な美しさ。しかしながら作品の内容は重厚です。揺れ動く人の心のうちを表現されています。

それもそのはず、原作はシェークスピアのマクベスをベースに日本の戦国時代を舞台にした人間ドラマです。

 

まずは霧の中からはじまります。オープニングは夢まぼろしとも現実ともつかない感じですがやはりこの場面は素晴らしいです。

 

そして三船演じる武将、鷲津武時(三船敏郎)は物の怪からお前は殿様を殺し城主に登り詰めるが三木義明(千秋実)の息子にその座を奪われると予言されてしまいます。

一笑に付して自分の館に帰り妻に話すと妻は暗殺をそそのかします。迷いながらも城主になれる機会を逃す手はないと城主殺しを実行に移します。

そのあとはやはり物の怪の予言通りに三木義明(千秋実)の息子に城を奪われまいと義明親子を殺害しようとしますが義明は殺したものの息子は取り逃がしてしまうのです。

まあ、こんな感じで栄光から破滅へと転落していく人間の揺れ動く感情を面白いように表現しています。
武将をそそのかした妻が罪の重さに発狂し手に実際にはついていない血を洗い落そうと必死に手を洗うのですが・・・そして一番の見せ場といえば三船演じる武将が無数の矢を浴びるシーンなどは圧巻です。本物の矢を使用して撮影した映像はあの名優三船敏郎の緊迫感が画面から湧き出てくるようです。

原作のマクベスのような神の存在はほぼありません。そこはやはり黒澤監督作品です。

神の存在よりも人間の中に潜む善悪の基準の曖昧さを鋭く表現されていると思います。

DVDやBlu-ray、Amazonプライムなどで一度チェックしてみてください

 

出演: 三船敏郎, 山田五十鈴, 千秋実, 志村喬, 浪花千栄子
監督: 黒澤明